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ゆきわり草4月号

2024年4月8日(月)

 4月の第四日曜日には孔子祭があります。孔子は紀元前551年に古代中国に生まれた思想家で、儒教の祖として知られています。

 儒教の思想がまとめられた「論語」は、孔子の弟子たちによって孔子の死後約400年もかけて編纂されたそうです。令和の日本でも、仁、義、礼、忠、孝などの言葉やそれにまつわる振る舞いが存在しますが、そうした日本ならではと思われている心情、感覚のようなものの多くはルーツを儒教に持ちます。

 孔子が最も重要とした概念は「仁」です。仁とは社会生活の中で最も基本的かつ重要な、思いやり、気遣い、慈しみ、愛情、良識など私利私欲とは対極的なもの。身近な人間関係から天下国家論まで一貫する、真理探求の基盤となる概念とされています。

 第56代・清和天皇(在位850〜881年)は、この「仁」の概念を尊び、名前に「仁」の文字を用いて惟仁(これひと)としました。その後、後小松天皇(在位1377〜1433年)以降は男性天皇の場合は必ず名前に「仁」をつけ「〜ひと」と名乗る慣習になっています。近代では明治天皇が睦仁(むつひと)、大正天皇が嘉仁(よしひと)、昭和天皇が裕仁(ひろひと)、平成天皇が明人(あきひと)、令和天皇が徳仁(なるひと)と名乗られています。

 天皇は日本の象徴として国民の安寧と幸福を祈る存在。人類愛の根源である「仁」という概念を自らの名に込めて、かれこれ700年も絶やさず祈り続けてくれているのですね。   

                            園長  永井 洋一


 

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