4月15日はルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの誕生日です。
ダ・ヴィンチといえばモナ・リザ。神秘的な微笑みの婦人を描いた肖像画は世界で最も知られた美術作品といっていいでしょう。
モナ・リザが展示されているルーブル美術館の来訪者は2018年に年間1020万人を記録し、今でも年間約800万人が訪れているそうです。構図、技法、背景の描写、モデルの婦人の人生、微笑みの意味…
モナ・リザを巡ってはあらゆる切り口からの議論が途切れません。モナ・リザがこれほどまでに人々の関心の対象になっていることを知ったら、天国のダ・ヴィンチはさぞや驚くことでしょう。
モナ・リザが描かれた時代は、女性が家族以外の人に微笑みの表情を見せることは、はしたない行為とされていたのだそうです。確かに同時代に活躍したラファエロやミケランジェロが描く女性たちには、あのような笑顔はないですね。そんな時代に神秘的な笑顔が描写されたことも、制作から500年以上たった今でも世界中でモナ・リザに関する論評が途切れない理由の一つでしょう。
さて、笑顔は「楽しい」という心理表現の一つで、私たちは「楽しいから笑う」と思っています。しかし心理学的には「笑うから楽しくなる」ということもあるようです。笑顔と同じ表情筋の動きになるような仕掛けをして作業をさせた人と、不愉快な表情と同じ表情筋の動きになるような仕掛けをして作業をさせた人とを比べた実験があります。両者に作業の後で同じ漫画を読んでもらうと、笑顔の表情で作業をした人の方が、圧倒的に漫画が楽しく感じたとする結果が示されました。表情が感情をつくり出すこともあるのです。
人が相手に微笑みかけたとき、それが「心」をともなわない作り笑いだったとしても、相手の脳の前頭葉が活性化し「快」の感情を生み出しやすくなるという研究もあります。本当の心中がどうであれ、まずは相手に微笑みかければ相手も心を許すのです。
こうした研究結果はともあれ、微笑みの表情は人の心を明るくするために重要であることは誰もが実感しています。4月の新しい出会いをモナ・リザの微笑みで始めましょう。
園長 永井 洋一