仏教では生死の概念を超越した涅槃という境地に達することを究極の状態とします。キリスト教ではこの世の終末が訪れた時に復活して審判を受け、神の元で永遠の命を与えられることを究極の状態とします。いずれも永遠という概念への人類普遍の憧れが伺えます。
さて、松任谷由美さんはベルベットイースターという曲で、小雨の朝、自分を迎えにドアを叩いてと歌います。でも迎えに来てほしい相手が誰なのかは、はっきりと歌っていません。そして天使が降りてきそうな低い空の下、彼女は昨日買った白い帽子を花で飾り、昔ママが好きだったブーツを履いて出かけます。
真新しい帽子と古いブーツ、時の流れの暗喩でしょうか。幻想的なメロディが「復活」をキーワードにするイースターという特別な日の歌として想像力をかきたてます。
1973年にこの曲が収録されてから50年を経た現在、子どもたちにとって復活は現実味を帯びたものになっています。近い将来、高度な記憶装置が脳内のすべての情報を「新しい体」に移し替える…ということが可能になるかもしれません。
もうそうなったら、釈尊もイエスも天上で「ほら、言った通りになっただろ」と笑っているかもしれませんね。
園長 永井 洋一