4月8日は仏教の開祖である釈迦の誕生日とされています。釈迦は生まれて間もなく「天上天下唯我独尊」という言葉を発したとされています。これは、人は誰でも大宇宙の無限の時空の中で唯一無二の存在である、という意味です。当たり前のことではありますが、改めて考えてみると、ビッグバンで宇宙が始まり 138億年の時を経た流れの中に今現在があり、この先も何百億年も続いていく悠久の時間の中で、「今、ここに生きている」ということが永遠に二度とない唯一無二の奇跡であるということがわかります。私たちと園児が今ここで出会うことは、確率でいえば天文学的数字の羅列の果てにあることでしょう。それは統計学的には「偶然」の域で処理されることなのでしょうが、十年前でなく十年後でもなく「どうして今?」と思えば、もしかしたら「そのように運命づけられていた」と解釈することもできます。確率的に「偶然」として処理されるべきことであっても、それがその人にとって意味のあることになれば、実はそれが天文学的な分量の選択肢の中から選りすぐられた「必然」であったのだと信じることもできます。

松下幸之助は「この世で起きることは全て必然で必要、そしてベストのタイミングで起きる」と語っています。子どもたちと私たちが銀嶺幼稚園で「今、この時」に出会い、同じ理想のもとに楽しい時間を過ごすことが「必然」であったと信じましょう。そう運命づけられた私たち教職員と子どもたちは、柔らかな春風の中に帆を上げて一年の旅路に出港します。

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